1 内容証明郵便について

内容証明郵便とは、日本郵便が、文書の発送日、内容、差出人と宛先を証明してくれる制度です。普通の郵便では、文書の内容は第三者から分かりませんので、文書を発送したことや、文書内容は、誰も証明してくれません。書留郵便であれば、発送から配達までは証明してくれますが、文書の内容については証明してくれません。
たとえば取引先がお金を支払わないので、正式な形で請求書を送りたいとき、普通郵便では、取引先から届いていないと言われるかもしれません。書留郵便では、届いたこと自体は誤魔化せないでしょうが、取引先から、請求書は入っていなかったとか、違う文書だったなどと言われるかもしれません。

この点、内容証明郵便であれば、日本郵便が手紙の内容を証明してくれるので、取引先は、請求書を受け取った事実を争うのは困難になります。ここに、内容証明郵便の意味があります。
また、事実上の効果として、内容証明郵便が届くと、受け取った相手方は、普通郵便に比べ、強く請求された印象を抱きやすいものです。ケースにより、従来の請求書では支払わなくても、内容証明郵便を出したら支払ってきたという場合もあるでしょう。

内容証明郵便は、金銭の請求、不動産賃貸借契約の解除、時効の援用、債権譲渡通知、遺留分減殺請求などに広く使われています。
金銭の請求については、消滅時効といって、期限までに支払請求をしておかないと、消滅時効を援用されて請求できなくなってしまう場合があります。この場合、消滅時効にかからないようにするには、請求をしたことを客観的な証拠に残す必要がありますので、内容証明郵便が必要です。なお、内容証明郵便を送っても、そのまま時間が過ぎると消滅時効が完成してしまいますので、訴訟提起等の時効中断措置を取ることが求められます。消滅時効の援用にも、内容証明郵便を使用します。

賃貸借契約の解除では、解除の意思表示をしたことや、解除日等を明らかにしておくため、内容証明郵便で通知を行います。同時に、延滞賃料の請求もすることが多いでしょう。
また、債権譲渡の第三者対抗要件のように、法律上、確定日付のある文書が要求される場合は、内容証明郵便を使うことになります。

2 内容証明郵便の書き方と送り方

内容証明郵便の書き方として、市販の内容証明郵便の用紙を使うのは一つの方法です。
しかし、市販の用紙である必要はありませんので、パソコンで作って印刷して送っても大丈夫です。
宛先に送る内容文書と謄本2通、合計3通を作成します。内容文書というのは、相手方に送る書面のことです。内容文書と謄本は、3通とも同じ文書で作る方が、間違いづらく簡便です。謄本には字数等の制限があり、次のとおりです。郵便局のホームページをご参照いただくとよいでしょう。
縦書きの場合
1行20字以内、1枚26行以内
横書きの場合は、
1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内

文書には、郵便物の差出人及び受取人の住所氏名を記載し、文書に記した法人名の右横に捺印をしてください。2枚以上になる場合はステープラーで止めて、契印をしましょう。
差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒も用意してください。

内容証明郵便の出し方については、内容文書、謄本2通、差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒を持って郵便局の窓口に行き、内容証明郵便を出したいこと、配達証明をつけたいことを窓口で申告し、料金を支払って手続します。印鑑も持っていくことが推奨されています。郵便局によっては取り扱っていないところもあるようですので、行こうとする郵便局に、事前に確認するのが安全です。

郵便局での手続が完了すると、提出した3通のうち1通を謄本として戻してもらえますので、必ず保管しておきましょう。
発送した後は、相手に届いた場合は、後日、配達証明のハガキが届きます。途中で配達状況を確認したい場合は、郵便局のホームページに追跡番号を打ち込むと検索できます。

3 内容証明郵便の注意点

内容証明郵便は、その名の通り内容が証明されますので、特に適正かつ正確に書く必要があります。金銭を請求するケースでは、請求の内容や理由等が、相手に伝わるように記載しましょう。事実と違う内容や不利益なことを記載して、それが証明されてしまっては元も子もありませんので、十分注意して作りましょう。

次に、後に訴訟等になる場合を想定して、配達証明をつけてください。郵便局の窓口で言えば付けてくれます。配達証明をつけると、宛先に届いた後、配達を証明するハガキが届きます。訴訟等では、内容証明郵便の謄本と、配達証明のハガキをセットで証拠として提出するのです。意思表示は相手方に到達することによって効力を生じるのが原則ですから、到達したことを証明してもらうのです。

内容証明郵便で何らかの請求をする場合、契約書や請書など資料を添付したいときがあります。しかし、内容証明郵便には資料を同封できないことになっています。宛先の相手としては、資料がないと分からない場合もあるでしょうが、資料は別便の書留などで送付せざるを得ません。この場合の知恵としては、たとえば、内容証明郵便の中に、資料を別送する旨を記載しておくのが、相手方に分かりやすくて良いでしょう。

4 電子内容証明郵便(e内容証明)

紙ベースの内容証明郵便のほかに、作成から差し出しまで、パソコンなどで電子的に手続できるサービスがあります。従来の方法では、郵便局に持っていく必要がありましたが、電子内容証明ならば、一歩も外に出ずに、内容証明を送ることができます。決まったデータの書式で作成することになりますが、従来より紙面を節約しやすく、内容証明にかかる費用を抑えられる場合もあります。
よく内容証明を出される企業様ですと、業務の効率化になると思います。また、弁護士の間でも、普及が進んできています。

5 内容証明郵便は、いつ出せばよいのか。

取引先に売掛金の請求書を何度送っても支払ってこず、待ってくれと言うばかりで先に進まない。こんなケースがよくあると思います。
一般に、資金繰りに余裕がなくなってくると、多数ある債権者のうち、積極的に債権回収に動いてきた企業へ、先に支払いをまわすことがあります。普通の請求書では支払いを期待できないならば、次のステップとして内容証明郵便を出すのが良いケースがあります。状況に応じて、速やかに発送すべき場合があるでしょう。

取引先の資産がある程度わかっているケースで、取引先が財産を散逸しそうなど財産保全の必要性が高い場合には、内容証明郵便に時間をかけるよりも、取引先の財産に仮差押えをかけておく方が良いときもあります。取引先の財産は、債権者が調査等する必要があるため、できれば、取引を開始するときは、取引先の当座預金等を把握するようにすると、いざというときの備えになります。
内容証明郵便や仮差押えなど、どのようにすれば分からないときは、一度、弁護士にご相談ください。

6 内容証明郵便の作成に大宮桜木町法律事務所がお力になれること。

内容証明郵便を出したいが、自社できちんと作れるか不安がある。自社で作ると間違ったことを書いてしまうかもしれない。うまく書けないので法律の専門家に頼みたい。
このようなご不安があるときは、弁護士に相談いただくのが良いでしょう。

内容証明郵便の作成を大宮桜木町法律事務所の弁護士にご依頼いただく場合、作成する書面には、大きく分けて2種類あります。

1種類目は、企業様名義で、弁護士が内容証明郵便を作成する方法です。2種類目は、弁護士に交渉ごと受任して、弁護士が代理人として弁護士名の内容証明郵便を作成する方法です。企業様名義の内容証明の場合、弁護士が内容証明の案を作成し、企業様に文書をお渡しし、企業様にて相手方に発送していただくことになります。他方、弁護士が交渉を受任する場合は、弁護士が代理人となっていますので、代理人である弁護士名義の内容証明を作成し、弁護士が相手方に発送します。

なお、代理人として受任せずに、弁護士名の内容証明郵便を作成して相手方に発送するだけという業務は、大宮桜木町法律事務所では取り扱っていません。弁護士名を表示する場合は、交渉のご依頼をいただく必要があります。

7 内容証明郵便の作成を弁護士に頼む場合の費用

企業様名義の内容証明郵便の作成だけを大宮桜木町法律事務所の弁護士にご依頼いただく場合、費用は、比較的簡易なケースでは1万円から3万円(税別)です。ただ、事実関係がある程度複雑であるなど、内容証明郵便を作成するのに一定の業務量を要する案件では、企業様とご相談の上で決めていきます。

他方、弁護士名を表示する内容証明郵便を作成する場合、つまり、交渉をご依頼いただく場合には、通常の代理業務案件と同様に、着手金と報酬金が発生します。着手金はご依頼の案件の着手時にいただく弁護士費用です。報酬金は、ご依頼の結果、成果に応じていただく成功報酬です。

着手金と報酬金のいずれも、経済的利益に一定の計算式をあてはめる方法で算定します。大宮桜木町法律事務所では、旧日弁連基準に準拠しています。たとえば、売掛金の請求で、請求額が200万円の場合を考えてみましょう。
請求額が200万円ですので、経済的利益も200万円と置きます。
報酬基準では、経済的利益が300万円以下の場合、着手金は経済的利益の8パーセント(税別)、報酬金は16パーセント(税別)となっています。
したがって、着手金は、200万円×0.08=16万円(税別)です。報酬金は、相手方が200万円を全額支払う合意が成立した場合、200万円×0.16=32万円(税別)となります。
ほかに、交渉を受任した場合は、内容証明郵便の実費、他の通信費、交通費等の実費がかかります。

8 内容証明郵便の作成を、大宮桜木町法律事務所の弁護士に依頼するにはどうすればいいか。

ご依頼者様とのやりとりは、すべて法律相談からスタートします。まずは、大宮桜木町法律事務所へお電話いただくか(048-783-3523)、お問い合わせフォームから、ご相談日時のご予約をお取りいただき、所定の日時に当事務所へお越しください。法律相談料は、30分あたり5000円です。
ご相談時間は、案件にもよりますが、概ね1時間程度かかることが多いです。ご相談の際は、できる限りで結構ですので、資料をお持ちください。

法律相談の結果、内容証明郵便の作成をご依頼いただくかどうかは自由です。相談だけしてみたいという場合でも受付しておりますのでご安心ください。
ご依頼いただく場合には、企業様名義の内容証明郵便か、弁護士名義の内容証明郵便を希望して交渉をお任せいただくかをお選びください。
なお、法律相談の後、内容証明郵便の作成をご依頼される場合には、内容証明郵便の作成業務の費用に、法律相談料を充当できる場合があります。