1 労働法の特徴

労働者側に代理人弁護士がついている場合は、通常は、労働者に一定の勝てる見込みがあると考えておくことが必要です。そのため、会社としては、しっかりやってきたので問題ないと思っているケースでも、当然ながら慎重に対応すべきです。

また、労働法は労働者を保護するようにできていますので、労働審判でも、労働者が有利に事を運びやすいことに注意が必要です。解雇無効を争われた案件では、事実上、会社が解雇が有効であることを主張立証できないと厳しい結果となるでしょう。未払い賃金や残業代請求の事案でも、会社の管理がずさんな場合、たとえ労働者側の立証が弱くても、会社不利に働きやすいです。

2 労働審判の準備期間

労働者が労働審判の申し立てをする場合、十分な準備をしてから行うことが可能です。申立ての時期は、労働者が決められます。しかし、会社は、いつ労働審判が申し立てられるか分からないのに、申立て日から40日以内に裁判所に出向く必要があり、さらにもっと前に、答弁書を提出しなければなりません。労働者との事前の交渉があることが多いでしょうから、労働審判になることを予測することはできるでしょうが、労働者からいつ労働審判が申し立てられるかは、会社はコントロールできないのです。したがって、日ごろから労務管理を適正に行い、いざというときに、的確な主張と証拠の提出をできるようにしておくべきです。

解雇事案で、事前の指導や注意等について証拠を残していないとか、残業代請求の事案で、タイムカードが本来の労働時間より長く押されており、会社が厳しく注意してこなかった場合などは、会社の対応は大変になります。

3 会社に顧問弁護士がいる場合

この点、会社に顧問弁護士がついていて、労務管理の相談を受けていれば、より紛争の起きにくい体制を作ることができるでしょう。労働審判を申立てられるような事態になると、会社の負担も大きくなりますから、できる限り紛争予防をすべく、日ごろから顧問弁護士に相談できるとよいでしょう。